2022/05/20 21:33
音を決めるスピーカーの重要なパーツとしてのコーン紙(振動板)があります。
コーン紙は開発者の設計意図が見た目から汲み取れる重要な要素で、そこから読み取ることで自分の好みに合った音質のスピーカーなのか判断の材料になります。
材質としては様々な材質が使われており一般的な物だと、紙、アルミ、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン、セラミック、さらにはそれらの複合材やメーカー独自開発の新素材等様々です。
当然材質の違いにより音質や音色も変わります。
下記は一般的な材料による傾向についてまとめています。
主観も多く含みますが、スピーカー選びの参考になれば幸いです。
【ペーパー(紙)】
一番馴染があり多くのスピーカーに採用されている素材ですが、過去の名機はどれもペーパーコーンと言って良いほど非常に奥が深い素材です。
時代の変化とともに紙にガラス繊維やその他の混ぜ物をしたりして剛性を上げ、音色やトーン調整を行っている物も今では数多くあります。
ペーパーコーンは中高域に有利な素材で、フルレンジスピーカーは今でもペーパーコーンが主流です。
綺麗で艶のあるボーカル等を楽しみたいのであればペーパーコーンが有利です。
時代の変化とともに近年では様々なハイテク材料を混ぜて作られたペーパーコーンも多くなってきていますので、ペーパーコーンを選ぶ場合はどんな物が混ぜてあり、それによりどの様な効果があるのか等を知って判断する方が良いです。
また、ペーパーコーン面にコーティングしているタイプ等もありますが、そういった物は比較的音の鮮度も良い傾向です。
当店で扱っているペーパーコーン製品は様々な好みに対応可能なペーパーコーンを採用している製品を厳選しております。
【ガラス繊維(グラスファイバー)】
素材が安価な事から良く見かける材質です。
比較的自然な音になるので、多くのユニットに採用されています。
昨今では、このグラスファイバーをベースに複合素材として音色を調整しているハイエンドモデルのスピーカーも数多くあります。
ナチュラルな音質傾向ですので、比較的オールジャンル癖なく聴ける優等生的な素材です。
当店の販売品でしたら、「JOURNEY」のM4シリーズや「DATASAT」のRX-100がこのタイプのハイエンドモデルにあたりま
【カーボン繊維】
ガラス繊維より軽く紙より剛性が高いのでスピーカーのコーンとしては非常に良い素材として主に高級機に多く採用されていますが、素材自体が高価です。
基本的にピークは少なく、繊細な表現も得意です。
カーボン繊維をただ編み込んだだけでは強度や低域の量感が出ないのでコーティング等が行われている場合が多いです。
こちらも比較的オールジャンル癖なく聴ける優等生的な素材ですので、色々なジャンルの音楽を聴く方には向いている素材です。
【アラミド繊維】
アラミド繊維は、防弾チョッキなどにも使用される切断が困難なほどの高強度の繊維です。
メーカーの違いによりケブラーとも呼ばれる素材です。
材料自体が非常に高価で加工が難しい為、超高級機等に多く採用されています。
コーンの素材としては高い剛性と適度な内部損失を実現する理想的な素材と言われています。
本来全ての特性に優れているスピーカーという物は存在しませんが、しいて言えばアラミド繊維は誰が聞いても好印象を得られる変な癖が無い平均的に優れた音質と言えます。
当方の出品物の中ではオリジナルのワイドレンジスピーカーやJOURNEYのミッドバスがアラミドコーンとしては正に理想的な商品です。
【アルミ】
マグネシウムやその他の金属系も同じ傾向ですが、どうしても振動板自体の重量が重くなるため、重たい音がする傾向です。
ですが、伝搬速度の速さからツイーター等では多く採用される素材です。
重量と剛性が高い事から低音に強く、サブウーファーではアルミコーンも多く採用されています。
アルミニウム振動板は内部損失が小さいため、音が収まる前に次の音が出てくる傾向が強く、ユニットによっては一音一音の分離が不十分に聞こえてしまうものもあります。
そんなアルミコーンの中でも、当店で取り扱っている2.25インチワイドレンジツイーターは中域から高域まで非常に綺麗に鳴らす事が可能です。
【ポリプロピレン(P.P)】
通称PPコーンと呼ばれるもので、殆どピークを持たず音も自然でこの素材での失敗は無いと言える素材です。
PPコーンは自然すぎてつまらない音と感じてしまう方もいるかと思いますが、昨今はこのPPコーンに特殊な材料を混ぜたりした物も出てきており、そういった物はPPコーンの良さを出しつつ脈動感等もあり飽きの無い高音質に仕上がっている物も多くありますので、そういったスピーカーをお選びになれば比較的簡単に満足のいく音作りが可能かと思います。
【セラミック】
セラミックは低音の量感もありながら極めて繊細な表現を得意としていますが、大型化が難しく、せいぜいスコーカーやツイーターサイズのスピーカーに採用されている事が多い素材です。
高温環境下で振動膜を均一な厚さにする必要がありますが、このプロセスを制御することが非常に難しく、引張り中に不均一な厚さや裂け目が生じやすく、セラミック振動板のコストが高い主な理由の1つです。
一般的な振動板は、異なる周波数帯が異なる駆動力を受けるので、使用中に振動膜の損失を引き起こす可能性があり、長期的な使用時はいくつかの場所の厚さや薄さ、柔らかさ硬さが歪みの原因になります。
セラミックセルの利点はどこにあるかというと、高い振動点に加えて、その高い解像度は特にボーカルとクラシック音楽に繊細であり、過渡応答も良く動的性能に優れています。
セラミックユニットは、ペーパーコーン、複合繊維コーン、ウール繊維コーン、PPコーン等と比較して、非常に高価ですが、物理的な欠点は少なく、簡単に言えばセラミックは他の材料よりも性能的に優れていると言えます。
【メーカー独自開発素材】
これは傾向が分かり辛い素材ですが、開発段階からコストも非常にかかるのでメーカーが理想とする音質に確実に近いと言える素材です。好みが合えば正に唯一無二な最高の音質かと思います。
ハイエンドモデル以上のスピーカーは素材やコーティング等ブランド独自の物が採用されている事が多いです。
上記はコーン(振動板)による大まかな違いですが、上記の様な素材をベースにしたスピーカーの中からじっくり検討すれば好みの音質に近いスピーカーが選べるかと思います。
あとは調整等でそのスピーカーを鳴らしきる事に注力すれば無駄な出費やオーディオ沼に嵌る事を防げるかと思います。
ただし、こだわる方には調整を繰り返してしまう調整沼に嵌る可能性はあります。笑
その他にも音質に関わる部分は多数ありますが、それは次回以降に書きたいと思います。