2022/06/02 18:09
DSPやアンプをお取り付け後に特に多い事例として、お取り付け後に一様な「サーー」とか「ザーー」というようなノイズが曲間等の無音時に耳につく様になったという状況が多々あるかと思います。
良くこの様なノイズは「ホワイトノイズ」と一緒くたに表現されますが、周波数成分の振幅が等しい雑音では無いので実際にはホワイトノイズと呼べるものではありませんが、今回は分かり易い様にホワイトノイズと統一して記載します。
このホワイトノイズは基本的には小音量時や無音時にしか知覚出来ないため、そこまで気にしない人もいれば非常に気にする人もいるかと思います。
原因としてはアンプ自らが発生させているものか、又はその上流や下流で発生しているものかによって原因や対策等異なりますが、今回はアンプ自体がホワイトノイズを発生させている場合について主観も交えて記載したいと思います。
アンプ自体が発生させているホワイトノイズの場合、ボリュームの大小に関係なく一様の音量のホワイトノイズが発生します。
逆にボリュームをゼロにした時に聞こえなくなるホワイトノイズや、ボリュームに連動してホワイトノイズの音量も大小連動する様な場合は別の原因ですので今回の話では触れていません。
アンプ自体が発生させているホワイトノイズとは、抵抗やトランジスタなど回路のパーツから発生しているノイズで、熱雑音や残留雑音と呼ばれるものです。
これはアンプや環境により聴感上の大小の差はありますが、どんなに高級で高価なアンプでも少なからず必ず発生しており、いくら電源やアース等を見直しても改善されない類のノイズです。
聴感上のホワイトノイズの大小の差は、元々の設計の違いや使われている抵抗やトランジスタ等のパーツの違いによる性能の差や、実際に使用するスピーカーの取付け位置や向き、スピーカー自体の能率やアンプのゲイン設定等による影響もありますので、取付け環境やスピーカー自体が変われば同じアンプを使用しても差が発生します。
また、アンプに使用している回路部品もノイズに対する許容範囲の規格値があり、その規格値内の物が良品として扱われてアンプに組み込まれているので、同じ機種のアンプでも規格値内のバラツキによるアンプ自体の個体差というのも実は結構あります。
同じアンプやDSPを使用しているのに一方ではホワイトノイズは少ないという状況でも、もう一方では上記理由等でホワイトノイズが比較的大きいと感じるといった状況も多々発生しますし、多チャンネルアンプやDSPの場合、チャンネルによってホワイトノイズの大きさが若干違うなんてこともあります。
昨今は比較的非力なアンプでも鳴らせる高能率スピーカーも多くありますが、スピーカーの能率が高いと特にホワイトノイズは知覚されやすく、またリスニングポイントが車内のように1m以内であればなおさらです。
車内空間の場合は、特に耳元に近いツイーターやスコーカーのホワイトノイズが耳につくという方も多いと思います。
また、スピーカーの位置や向き、3wayなのか2wayなのか等でもホワイトノイズの音量や聞こえ方が異なります。
このタイプのホワイトノイズはアンプの機器特性によるものですので根絶は出来ませんが、ある程度気にならない程度まで改善する事は可能だと思います。
高級機等はホワイトノイズが少ない傾向ですが、それは元々の設計の違いもありますが、ノイズの少ない高価な素子を使用していたりしますので、例外もありますがアンプの性能は比較的価格に比例すると言って差支え無いかと思います。
アンプ等ご検討の段階である程度の機器特性によるホワイトノイズも許容出来ない様な場合は、初めから高価な高級機をご検討頂いた方が間違い無いかと思います。
先程も書いたように、アンプという物はその特性上、レベルの差はありますがホワイトノイズは必ず発生します。
また、それが気になるレベルなのかどうかは、アンプの個体差や構成や環境、及び聞く人の感覚的な部分になります。
車内という元々の騒音やノイズの多い空間で使用する車載アンプの中には、そもそも無音時のホワイトノイズへの配慮はある程度で設計されている物も多いですが、それでもエンジン音や走行音、楽曲が流れている間等は全然気にならないレベルの物が殆どかと思います。
逆に普通の音量で聞いていてホワイトノイズが楽曲等と重なって聞こえるレベルならそれは機器の故障やその他の外部的要因を疑った方が良いです。
昨今はハイブリッド車や電気自動車等の静かな車も増えてきているので、その様なお車の場合は車内環境でも環境音が少ない状態ですので、停車時等の無音時には非常に気になるといったケースも多いかと思います。
ホワイトノイズはもちろん無い方が良いので、出来る限り気にならないレベルまで下げられるであろう方法を以下に記載します。
一番手っ取り早いのは不快なホワイトノイズを出している原因のアンプやDSPを取り払って下さい。と言いたい所ですが、みなさん何かしらの明確な理由があって取り付けていると思いますので、今の構成を維持しつつホワイトノイズを減らしたいとお考えのはずです。
今の構成を変えない様な改善策として出来る事は正直少ないですが、まず、ホワイトノイズは上にも書いた様に電子回路自体が発生させているノイズですので、理論的にはゲインに比例したホワイトノイズが発生しています。
ですので、まずは無音の状態でアンプやDSPのゲインをある程度絞ってみてどうかを確認し、もしそれでホワイトノイズが気にならないレベルまで小さくなるのならそのゲイン設定で運用する方法が一番簡単で確実に改善可能かと思います。
それでも納得するレベルにならない場合は、最終手段ですが、上記ゲイン調整と併用してアンプやDSPからの出力の受け側であるスピーカーのインピーダンスを上げる事で電流が流れにくくなる代わりにホワイトノイズの影響も少なくなります。
インピーダンスを上げるというのは、スピーカー自体を6Ωや8Ωの物に交換出来れば良いですが、なかなか新たに交換するのは難しいと思うので、スピーカーに抵抗を追加するという方法しか無いかと思います。
抵抗を追加すると実際には色々と数値的にも細かい話になってきますが、そういったオーディオマニア的な細かい部分の説明はオーディオに詳しくない方からしたら分かり辛くなるだけなのでここでは省きます。
これはあくまでも限られた予算であまりお金もかけられない中でオーディオを楽しんでおり、今の構成による音質には満足しているけどホワイトノイズだけがどうしても気になると思っている方にとっては相対的な音質に対する効果が高い方法です。
ですが、これを絶対にやった方が良いとか強制するつもりもありませんので、本当に悩んでいる方は改善策の一つとして参考にして頂ければと思います。
抵抗を追加する場合は余計な物を間に挟む事になり、オーディオのセオリーに反する事になりますので、賛否両論あるかと思いますが、セオリーにこだわる場合は残念ながらもう出来る事は無いかと思います。
セオリーなんてどうでもいいからとにかくホワイトノイズを改善して気持ちよく音楽を聴きたいと思う方はこのまま読み進めて下さい。
抵抗を追加するという事は、追加する抵抗の種類によっては音質的に劣化する場合が多いです。
ですが、良い抵抗を使えば聴感上の音質劣化も無く機器特性によるホワイトノイズの改善が可能です。
お勧めの抵抗としてVISHAY/DALE(ビシェイ・デール)の無誘導巻線抵抗をスピーカーケーブルに直列で追加すれば聴感上の音質劣化無くホワイトノイズをかなり減少させられます。
一般的なセメント抵抗等でも同じ様にホワイトノイズは減少出来ますが、音質的には情報量が減ったような音質に感じてしまう場合が多いので、抵抗を追加する場合は上記抵抗をお勧めします。
この抵抗は普通に海神無線さん(https://kaijin-musen.jp/web_shop/products/list?category_id=24)等でも買えますし、抵抗としては非常に高額な部類ですが、2つ買っても2,000円以内には収まるかと思いますので、それで音質も殆ど劣化せずに悩んでいるホワイトノイズが改善されるなら費用対効果としては非常に高いと思います。
また、追加する抵抗値等でホワイトノイズの減少量も変わりますが、抵抗値が高くなるとその分抵抗でパワーを消費して音量も下がりますし、アンプの出力も抵抗でパワーロスしますので、下がった音量をアンプやDSP、ヘッドユニット側の音量調整等でカバーできる範囲での選定が必要です。
ツイーターやスコーカーの場合、車内で常識の範囲内の音量で普通に音楽を聴く程度であれば抵抗値は2Ω~4Ωの電力容量5W~10W程度のもので良いかと思いますが、まずは2Ωから試していく方が抵抗を入れないスピーカーとの音量バランスもアンプやDSP側でとりやすいかと思います。
抵抗を入れた状態で音量を上げるというのは、抵抗を入れていない状態でアンプの音量を下げる事と同じだと思うかもしれませんが、上記の様なホワイトノイズを軽減することが出来るので相対的なSN比は高くなります。
ちなみに、ミッドバスに抵抗を追加する場合は電力容量も大きい物にしなければ色々と弊害があり最悪の場合抵抗が焼損しますので、今回の話はツイーターやスコーカーに限った話です。
また、パッシブネットワークを併用している様な場合は、周波数特性は負荷抵抗に反比例してカットオフ周波数が変動しますので、この方法は出来ないかと思います。
音量については抵抗を入れた場合、今まで聞いていた音量レベルの位置よりレベルが上がる事になりますので、各スピーカーとのバランスも最終的に調整する必要があるかと思います。
また、使用するスピーカの能率が低い場合でもホワイトノイズは小さく聞こえますので、能率の高いスピーカーを使用している場合は能率の低いスピーカーへ交換した場合もホワイトノイズは減少します。
いづれの場合も今まで聞いていた音量レベルの位置よりレベルが上がる事になりますが、どうしても無音時のホワイトノイズが気になり妥協出来ないと思う方は、上記方法をお試し頂ければ相対的に見た「音質」というものは現在お使いのシステム構成を維持しつつ向上させれらるかと思います。
アンプとノイズというのは切っても切れない関係ですので、今まで書いてきた様な機器特性によるホワイトノイズの場合は、ゲイン調整してある程度で妥協するか、上記対策等で相対的な音質を取るか、一切妥協の無い高価なアンプへ買い換えるか等の選択になるかと思います。